低分散スリット分光器の製作
回折格子を使用した2号機
構造
Written by K. Sugawara Updated
on Apr10, 2000
目次
全体の構成
カバーをあけた状態でみた分光器の内部。
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集光レンズ
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集光レンズ保持部(一眼レフカメラボディー)
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ファインダー(スリット位置確認用)
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スリット
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コリメータレンズ保持台
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コリメータレンズ
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スリット像確認用プリズム取付け部
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グレーティング
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グレーティング回転台
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結像レンズ
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冷却CCDカメラ
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ビデオカメラ取付け部
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ビデオカメラ取付け部(予備)
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結露防止ヒーター電源部
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遮光用カバー
製作上の方針
予算や時間とも相談し、次のような方針とした。
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本来は観測目的に応じて必要なスリットサイズやF比などを決めるのだ が、今回はとりあえずスペクトルを撮影で
きる装置を目標にする。
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テストをしながら改良を加えるので、あとで調整や改造のしやすい構造にする。
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手持ちの機材や道具を使う。 日曜大工でどの程度のものが作れるかも実験テーマ。
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カメラやレンズは他の用途にも使うので、できるだけ加工をさける。
主な材料・道具
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集光レンズ(カメラレンズを利用)
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集光レンズ保持用カメラボディー
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スリット(かみそりの刃で自作)
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コリメータレンズ(カメラレンズを利用)
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グレーティング(島津製作所製)
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カメラレンズ(カメラレンズを利用)
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冷却CCDカメラ(Meade社製Pictor416)
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CCDカメラ用カメラレンズアダプタ(Meade社製)
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その他 合板、アクリル板、ボルト類、黒スプレー など
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道具 のこぎり、ドリルなど
各部の構造
集光レンズ・集光レンズ保持部
分光器の中でもっとも天体よりに配置され、その光を集める役目をするのが集光レンズ。
ここでは、一眼レフカメラ用のレンズを使い、その保持にはカメラボディーをそのまま利用している。カメラレンズなら交換も容易であり、ファインダーを使って、おおまかにスリットを目標方向に向けることもできる。
カメラボディーの後ろ側には、コリメーターレンズ、グレーティングなどが配置されるので、ファインダーをのぞきにくい。そこで、ウエストレベルファインダーをとりつけ、直角方向から視野を確認できるようにした。
観測時には迷光防止のためにカバーとフードをとりつけ、集光レンズ部のみが外へ出るようにしている。
また、夜露防止用のニクロム線ヒーターを内蔵してある。
カメラアダプターを介して望遠鏡の焦点部への取り付けも可能だが、強度に不安がある。
スリット
集光レンズをはずし、シャッターを開いた状態でカメラボディ内部をみたところ。
フィルムガイドレール部に固定したスリットが見える。
スリットは、かみそりの刃で自作した。アルミ板に2枚のかみそりの刃をおき、
顕微鏡で覗きながら、所定のすきま(スリット幅)があくように、平行度にも気を配りながら調節し、瞬間接着剤で固定。
今回は、スリット幅を0.2mmとしてあるが、これは観測対象などによってさまざまな検討が必要な部分である。
スリット位置は、カメラファインダーの中心とあうように固定する。
まずカメラを明るい恒星に向け、ファインダーの中心に正確に向けておく。
次に、フィルムガイドレール部にのせたスリットを後ろからのぞきながら、恒星がスリットを通る位置にくるように調節し、
セロテープ(!)で固定した。
フィルムガイドレール部にスリットをのせているので、カメラレンズのピント目盛りを無限大にあわせれば、
スリット位置に天体の焦点像が結ばれることになる。(実際には、試写による微調整が必要)
コリメータ
スリットを出た光を平行光束にするため、すぐ後ろにコリメータレンズを配置する。作例では、135mm望遠レンズを使ってある。接写用のベローズアタッチメントにのせてあり、ラック・アンドピニオン式の微動装置を使ってスリットとコリメータレンズの距離を変えることができる。コリメーターのピントあわせの際には、まずこの部分を用い、微調整はレンズのピントリングをまわすことで行っている。
レンズの後玉がスリットの方に向いている。前玉側(グレーティングの方を向いている)のフィルター取り付けネジにリバースアダプタをねじこみ、カメラの裏ブタを利用してスリット像確認用プリズムを脱着できるようにしてある。
スリット像確認用プリズム
観測前の調整時に、コリメーターの後ろ側に直角プリズム(望遠鏡の天頂プリズムを利用)をとりつけ、スリット像を、横からのぞけるようにした。
スリット像
これが、スリットの像である。(撮影時のピントの甘さによって、スリットが太く写ってしまっている)
すぐとなりにグレーティングがあり、傷をつけそうになるのがちょっと不安。
コリメータのピントあわせ
無限遠にピントを合わせた小望遠鏡(8倍25mmの望遠鏡のファインダー)
を、スリット像確認用プリズムにとりつけて、スリット像をのぞく。スリット像がもっともシャープに見えるように、コリメータを調節する。同様にして、恒星をのぞけば集光レンズのピントもチェックできる。
グレーティング
希望の波長を選択するために、角度の微調整ができるようにしておいた。グレーティングを回転台(廃品のビデオデッキから取り出した回転ドラム)に垂直にとりつけてあり、背面の2本の押し引きネジで角度を微修正する。
できるようにしてある。
結像レンズ
市販のアダプターを使い、CCDカメラにカメラレンズをとりつける。
これを交換することにより、画像上のスペクトルの分散を変えることもできる。
CCDカメラ
市販品をそのまま使っている。冷却部の放熱を考え結像レンズ部分のみが分光器のカバー内に入り、
冷却ファンは、外側に出るようになっている。
ガイド望遠鏡
カメラのファインダーだけでは、正確にスリット上に星をのせることができないため、ガイド用の望遠鏡が必要となる。
観測の前に、明るい恒星などを使い、分光器と光軸を調節しておく。
モニター用ビデオカメラ
スリットが天体のどの部分にのっていたのかを記録するために、ビデオカメラを同架できるようにカメラ雲台を
つけてある。ただし、小型のものしか乗せられない。流星痕の観測には十分である。
波長較正用比較光源
波長同定のために、人工光源のスペクトルをとる場合は、次の方法を用いている。
まず、集光レンズをはずし、かわりに散光板(白色アクリル板)をとりつける。
ネオンランプ(電源スイッチに兼用)を密着させ、撮像する。