DEEP IMPACT


Written by K. Sugawara May.16, 2005 Updated on Oct.15, 2008



それは、映画でもなければ馬でもない。
史上初の大胆な手法で行われる、彗星探査計画である。


概要


 2005年7月3日に探査機DeepImpactから放出されたImpactor と呼ばれる”弾丸”が、
24時間を経て、Tempel第1周期彗星(9P/Tempel)の核に衝突。
その際に形成されるであろうクレーター、放出物、直後の彗星の変化を
様々な手法で観測する。


動画 (早送りでもスローモーションでもない、実時間)
640*480pixels(WMV)  ・ 
320*240pixels(WMV)  


 重さ350kgのImpactorは、本体であるDeepImpactから切り離され、24時間後の2005年7月4日世界時6時(日本時刻では15時)に、秒速10.2km(時速36000km!)という超高速で、彗星に衝突。

 その瞬間、衝突地点の物質が放出され、直径100m程度のクレーターが形成されると予想されている。

 衝突後、Deep Impactは、彗星核に最高で500kmの距離にまで接近。


 彗星の反対側(夜の側)にまわりつつ、様々な観測を行う。

 以上の映像は、シミュレーションソフトCelestiaに、Jestr Jack氏によるデータを組み込んで筆者が作成したものである。



地上からどう見えるか

●衝突直後の彗星の位置(日本での見え方)

  衝突予定時刻は、日本時間の15時なので、通常の方法では見ることができない。
 
 左の図は、7月4日21時JSTのもの。西天でもっとも目立つ木星のすぐ東側に白く輝く1等星のスピカ。そのすぐ北に彗星(テンペル)がある。

 太陽が沈み、空が暗くなる20時すぎから、彗星が地平線に沈む24時頃まで観測が可能。
 彗星の変化はしばらく続くと予想されるので、衝突後の継続的観測が重要。


(図は、ステラナビゲータで作成。)


 上の図の彗星付近のみを拡大し、10等星程度の暗い星まで表示したもの。中央の円は、直径7度で、7倍程度の双眼鏡の視野に相当。
 双眼鏡程度で見える明るさになるかどうかは、わからないが、そうあってほしいものだ。できることなら肉眼でも見えるといいな。。。

 

(図は、ステラナビゲータで作成。)

●衝突後の彗星の尾

 衝突によって飛び散った物質が尾となって観測される可能性がある。
 もし、尾ができるとすればどのような形で、どのように変化していくのか、
 現在シミュレーション中である。途中経過は、こちら。

 結果は、以下で発表の予定。
    Dust Tail of Comet 9P/Tempel 1 after the Deep Impact: Prediction (Abstract: Planetary Scienceより)
    AOGS 2005, the Asia Oceania Geosciences Society's 2nd Annual Meeting

    彗星夏の学校(2006)で発表した論文
  Ken Sugawara(2006) Numerical Simulations of Ejecta Cloud by Deep Impact
  

リンク



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