彗星関係英論文読解のための用語集
Updated on Oct.2, 2002
彗星関係の論文によく出てくる単語、 小さな英和辞典には出ていないような用語などを集め、 私たちなりの解説を加えました。 間違いや、こんな用語も加えたらどうか、というご意見がありましたら、
E-mail:se2k-sgwr@asahi-net.or.jpまでお知らせ下さい。随時更新していく予定です。
目次
関連情報
- 太陽系関係用語集(ナインプラネッツ)
- 基礎物理定数
- a(軌道半長径、軌道長半径)
-
(angstrom:オングストローム)
長さを表す単位。10^-10 [m]。
最近はnm(ナノメーター)が使われる。
- absolute magnitude(絶対等級)
reduced magnitude(換算等級)とも言う。
彗星が太陽及び地球から1AUの距離にあり、 なおかつ位相角が0度のときの等級。
rを太陽からの距離、Δを地球からの距離、 F(α)を位相関数としたとき
V=V(1、0)+5logrΔ+F(α)
によって定義される。(V(1、0)が絶対等級、Vが観測される等級である)
- active area(active region)(活動領域)
彗星核の表面において局所的に激しく活動し、ジェットなど吹き出している領域のこと。
- aeon(AE)
1Gyr=10^9yr
- albedo(反射能)
全入射光に対する、ある方向に反射する全反射光の比。
つまり、反射能=全反射光/全入射光
- Alfven Mach number(アルフベン・マッハ数)
局所的なAlfven速度に対する 局所的な流速の比。
- Alfven speed(or velocity)(アルフベン速度)
磁力線に沿って伝搬する磁気流体波の速度(VA)。
VA=B/(4πρ)^1/2
Bは磁場の強さ、ρは流体密度)
- Alfven waves(アルフベン波)
プラズマ中を磁力線を横切るように振動する波、流 体要素が平衡位置のまわりを動くことによって磁力線が振動して波
が生じる。流体要素の振動は、逆に密度ゆらぎと磁場の変化との相 互作用によってひきおこされる。
- Amor asteroids
(アモール型小惑星)
Aten asteroidsの項を参照。
- amu(atomic mass unit:原子質量単位)
原子、素粒子などの質量を表す単位。 質量数12の炭素の同位体12Cの原子1個の質量の12分の1を 単位とする。
すなわち、M(12C6)=12.000amu
1 amu = 1.6605402×10^-24 g
- anti tail
anomalous
tailの項を参照。
- anomalous tail
アンチテイル(anti tail)とも言う。ダストテイルの一部が、 見かけ上反太陽方向から大きくずれた方向に見える尾のこと。
- apparition(出現、回帰)
彗星が再び太陽に接近し、我々の観測にかかるようになること。
- Apollo asteroids(アポロ型小惑星)
Aten asteroidsの項を参照。
- arcsec
弧のなす角度を秒で表した単位。
- asteroid(小惑星)
太陽を中心とした軌道を持つ小天体で、 彗星のような活動を見せず、地球からは恒星状に見えるもの。
- asteroid belt(小惑星帯)
火星と木星の間の領域で、大多数の小惑星はここに位置する。
- Aten asteroids)(アテン型小惑星)
軌道特性により小惑星は以下のように分類されている。 (向井正(1994)より)
分類 |
軌道半長径 |
遠日点距離 |
近日点距離 |
Aten型 |
<1AU |
0.983AU< |
|
Apollo型 |
1AU< |
|
<1.017AU |
Amor型 |
1AU< |
|
1.017〜1.3AU |
- AU(天文単位)
地球軌道の長半径を1とした長さの単位。
1AU=1.496x10^11[m]
B(近日点緯度または、近日点黄緯)
Bessel-Bredikhin theory(ベッセル-ブレディヒン理論)
ダストテイルの形状を個々のダストの力学的計算に よって説明する理論。 ベッセルが考案し、ブレディヒンによって改良された。
blackbody(黒体)
入射する全ての波長を吸収・輻射する理想的な物体。 黒体からの輻射は温度のみの関数となる。
E=σT^4 (Stefanの4乗則)
σ:stefanの定数
(σ=5.67x10^-5[erg・cm^-2・s^-1・゜K^-4]
=1.35x10^-12[cal・cm^-2・s^-1・゜K^-4])
blackbody
radiation(黒体輻射)
温度輻射(thermal radiation)とも言う。
黒体の放出する輻射。 スペクトルの輝度はプランクの法則に 従う。
bolid
満月に匹敵する明るさの火球。 meteorの項を参照。
bow shock(衝撃波面)
物理的状態の変化などによる不連続面(例:太陽風と地球の磁気圏)。 超音速の流れは内部からの圧力・濃度・温度・エントロピーの
増加により、速度が低下する。
breccia(角礫岩)
角礫構造よりなる 礫岩。
breccia structure(角礫構造)
初生の岩石や鉱物が二次的な破砕作用を受けて稜角のはっきりした破砕構造に変わり、
これらの大小不同の角礫が不規則に集合したもの。
Brownlee particles(ブラウンリー粒子)
地球成層圏で飛行物体が採集した太陽系内のダスト。
c
光速。3x10^8 [cm・s^-1]
CA(cosmic abundance:宇宙存在度、宇宙組成比)
宇宙における(元素の)存在度のこと。
carbonaceous chondrite(炭素質コンドライト)
有機物や含水鉱物を含むコンドライト。次のように分類される。
CI=C1=typeI |
(炭素を3.5%含み、コンドリュームが無い。) |
CM=C2=typeII |
(炭素を2.5%含む。) |
CV.CO=C3V,C3O=typeIII |
(炭素を0.5%含む。) |
chondrite (コンドライト)
コンドリュールを含む石質隕石。
chondrule (コンドリュール)
鉄やマグネシウムシリケイトの小さな球状の粒子。
clathrate
compound(包接化合物)
2種の分子が適当な条件下で組合わさって結晶ができるとき、
一方の分子がトンネル形、層状、または網状構造をつくり (これを包接格子という)そのすきまに一方の分子が入り込んだ構造。
clathrate hydrate (包接水和物)
CH4のように1つだけの要素を含む固体分子化合物は、
H2Oの氷のような他の要素の格子構造の中に Walls力
によって取り込まれる。 CN,CO,OHのようなラジカルの輝線(emission band)スペクトルが、 彗星が太陽に近づくと同時に現れることを説明するために、
彗星の氷の中に包接水和物が含まれていることが示唆されている。
cm-A(centimeter-Amagat)
STP(1気圧、273K)における1cm^3あたりの分子数の円柱密度の単位。
2.68719e19cm^-3 amagat^-1をLoschmidt's numberと言う。
color index (色指数)
2つの波長域における等級差。 色指数は一般に、(短波長での等級)-(長波長での等級) で定義される。
UBVシステムでは、 A0の星をB−V=0、U−B=0としており、より高温の星ではマイナス、
より低温の星ではプラスになる。
coma (コマ)
ガスと個体微粒子からなる彗星核の一時的な大気。 10^4〜10^6Kmかそれ以上(Lyman
αのコマは直径10^14 kmに達する。 )の直径を持つ。一般的に球状であるが、 ダストは放物線状のエンベロープから タイプIIの尾へと重なっていく。
comets,family of(彗星の族)
惑星の軌道半径と似ている昇交点距離を持った彗星の集まり。 例えば木星族。
comets,group of(彗星のグループ )
軌道が良く似ている彗星の集まり。
comets, nomenclature (彗星の命名法)
天体の命名法について参考になるページ
conglomerate(礫岩)
礫が基質によって膠結された岩石。
contact surface(接触面)
2つの流体を分けている面または膜。コマの内側へ向かう太陽風の 流れと外側へ向うコマの電離層プラズマを分ける面など。
contracting envelopes (縮小するエンベロープ)
彗星頭部の太陽側の面にときおり観測される彗星イオンの不均質な構造。 形成されたあとすぐに核へ向かって落下していく。
Δ: (地心距離)
太陽系天体の地球からの距離のこと。単位は通常天文単位を使用。
Debye :
電気双極子モーメントを
測定する上で用いる単位。
Debye length (デバイ長)
負の負荷に帯電した粒子によって保護された帯電粒子の電場がおよばない プラズマに特徴的な距離。
disconection event(DE)
彗星頭部の領域から分離した、彗星のイオン(テイル)の濃密部。
DSS(deep sea spherules)
深海底に堆積した小球体。粒子は1mm以下。 流星塵であると考えられている。
dust tail(ダストテイル)
ダスト(塵)や氷の微小な固体粒子で構成された彗星の尾。
e(eccentricity:離心率)
2次曲線の軌道の形がどれだけ真円からずれているかを表す量。 軌道の長軸半径をa、短軸半径をbとすると、
e=(a^2-b^2)/a で定義される。 e=0は真円,e=1は放物線、e<1は楕円、e>1は双曲線軌道となる。
ecliptic (黄道)
太陽の通り道。
e.g. (exemple gratia)
『例えば』の意味のラテン語。英語の for example と同義。
elongation(離角)
惑星(彗星)−地球−太陽のなす角。 太陽の東方にある場合は宵の空、西にある場合は明け方の空に観測できることになる。
離角0°はいわゆる合、180°は衝、90°は矩の時に相当する。
electric dipole(電気双極子)
微小距離をへだてておかれた正負の電荷の一対。 単に dipole(双極子)ということもある。
electric dipole moment(電気双極子モーメント)
電気双極子の強さを表す量。
envelope(エンベロープ)
彗星中心部から太陽方向へ噴水のようにのびる構造。
ephemeris(位置推算表)
一定間隔で計算した天体の位置の表のこと。複数形は ephemerides 。
Ephemeris
EMP:Ephemerides of Minor Planetsのこと。 the Russian Academy
of Sciences, Institute of Theoretical Astronomy, Leningrad, U.S.S.R.が毎年発行していると参考書には書いてあったが、
現在はここでやっているらしい。
Institute of Theoretical
Astronomy ( ITA )
EPHEMERIDES
OF MINOR PLANETS for 1996
ESA(European Space Agemcy:ヨーロッパ宇宙機構)
EUV(遠紫外:extreme ultraviolet)
200nmから数十nmの紫外線。
eV(electron volt:電子ボルト)
素粒子、原子核、原子、分子などのエネルギーを表す単位。
electron volt = 1.60*10^-12 ergs.
fan shaped coma(扇型コマ)
太陽方向に扇のようにひろがったコマの構造。
FFT(Fast Fourier Transfer:高速フーリエ変換)
フーリエ変換を高速に行うアルゴリズムの一種。
fireball(火球)
流星の項を参照。
flux ropes
金星の電離圏に発見された小さなスケールの磁場構造。 ツイスト状のロープの束が,螺旋構造になっている。
fluorescence(蛍光)
原子、分子あるいはイオンが短波長の電磁波を吸収し、 再びそれより長い波長の電磁波を放出すること。
Fo65
olivine:(Mg,Fe)2SiO4)(かんらん岩)でMg:Feの比が,
0.65:0.35のもの。Mg:Fe=1:0のものをforsterite,逆のもの をfayaliteという。
folding ion rays (レイのたたみこみ現象)
レイのすぼまり現象のこと。 レイは通常彗星の頭の部分から,対称にハの字型に広がっているが,
のびてくると尾の中心軸に向かってだんだんすぼまっていく。
fountain model (湧き出しモデル)
Fourier analysis(フーリエ解析)
フーリエ変換(理論)によって周期性を持ったある関数(現象)を 単純な波(正弦波)の重ね合わせに分ける解析手法。
Fourier Theorem (フーリエ理論)
様々な周期的な動きをするものを,振動と位相が決まった 単純な周期振動(即ち正弦波)の重ね合わせで表すという理論。
この元の波を正弦波の重ね合わせにすることをフーリエ変換 (Fourier Transfer)と言う。
FTS (Fourier theorem spectroscopy:フーリエ分光)
フーリエ変換によって光を分光すること。
FWHM(full width at half maximum:半値全幅)
スペクトル線の強度やフィルターの特性を表すのに使われる量。 ある波長域内で強度が最高値の半分になる最短の波長と最長の波長の間の波長差
で定義される。 単に半値幅ともいう。
G
ガウス。csg電磁単位系での磁束密度の単位。
1[G]=10^4[T]=1[oersted]=79.58[amp-turn/m]
geometric albedo(幾何学的反射能)
GeV
ギガエレクトロンボルト(10^9[eV])
gegenschein (対日照)
G-factor(g因子、蛍光効率)
通常は単位時間,単位体積の分子1個当たりの太陽陽子の散乱確率で表す。
Giotto(ジオット)
1986年に回帰したハレー彗星観測のために打ち上げられたヨーロッパの衛星。
核に600Kmまで接近して,初めて彗星核の真の姿をとらえた。
GMT (Greenwich mean time:グリニッジ標準時)
グリニジ子午線での地方時で、全世界の地方時または標準時の基本とされる。 世界時の項を参照。
Greenwich meridian (グリニッジ子午線)
ロンドンのグリニジ天文台 (Royal Greenwich Observatory ) の子午環の位置を通過する子午線。
全世界の経度の原点、すなわち本初子午線。
gravel (礫)
粒径2ミリ以下の砕屑粒子。pebbleともいう。
gravitational constant(万有引力定数)
G=6.667×10^-8 [dyn cm^2/g^2]=6.667×10^-11
[N m^2/Kg^-2]
gaussian gravitation constant(ガウス重力定数)
k=0.01720209895[rad./day] or [AU/day]
Greenstein effect (グリーンスタイン効果)
彗星の分子の回転によるスペクトルの異常強度。 コマの内部の粒子が太陽光を散乱するとき,
粒子の運動によって起こるドップラーシフトが原因である。
Gyr(ギガ年,とは普通言わないが)
10^9年(10億年)。
H0 (絶対等級または標準等級 を表す記号)
日心距離(r)=地心距離(Δ)=1 [AU]での等級。 absolute magnitudeの項も参照。
half-width半値幅
半値全幅を参照。
head(頭部)
そのものズバリ彗星の頭。核とコマの部分。
hydrate(水和物)
水分子が他の分子と結合して生成した形の構成を持つ物質、 分子の形で水を含む物質、水が包接されている 包接化合物などがある。
i(inclination:軌道傾斜角)
ある基準平面に対する軌道平面の角度。 彗星の場合は通常地球の軌道平面に対する彗星の軌道平面のなす角度のこと。
ice grain halo
実験室でのシミュレーションでは、氷の昇華によって氷粒子の粒が 飛び出してくる現象が観測されている。彗星核でも同様な現象が起き、
核を取りまくように球殻状に氷粒子が広がっていると考えられている。
IAU(International
Astronomical Union:国際天文連盟)
ICQ(International
Comet Quarterly)
IDP(Interplanetary dust particles:惑星間塵)
IHW(International Halley Watch:国際ハレー彗星観測網)
前回のハレー彗星の回帰の時に全世界的に作った観測網。
IR(infrared:赤外線)
IUE(International Ultraviolet Explorer:国際紫外線観測衛星)
International
Ultraviolet Explorer (IUE) satellite
International Ultraviolet
Explorer Satellite
JD(Julian day:ユリウス日)
紀元前4713年を元期にした日数。
Jy (ジャンスキー)
電磁波のエネルギーの単位。ジャンスキーは銀河電波を最初にとらえた人物。 1 [Jy]=10^-26 [W
m^-2 Hz^-1]
- k(ボルツマン定数)
K=1.38×10^-16 [erg deg^-1] cgs
=8.62×10^-5 [eV deg^-1] MKS
- K
ケルビン温度,絶対温度 K=(摂氏+273.15)
- Kcal (キロカロリー)
4.186×10^10 [erg] = 4.185×10^3 [J]
- Kepler's laws(ケプラーの法則)
ケプラーが,ティコの行った惑星の位置観測を基に経験的に求めた法則。 ニュートンらによって理論的裏付けがなされた。
第1法則:全ての惑星は,太陽を一つの焦点とする楕円軌道を回っている。
第2法則:一定時間に惑星が描く面積速度は一定である。(面積速度一定の法則)
第3法則:惑星の公転周期の2乗は大陽からの平均距離の3乗に比例する。(調和法則)
- KeV (キロエレクトロンボルト)
ケブと読む。10^3 [ev]
- Kps(キロパーセク)
距離を表す単位。10^3 [pc]
- Kreutz sungrazers(クロイツ群、太陽をかすめる彗星群)
太陽半径よりもわずかに大きな近日点距離を持ち、 ほぼ同じ軌道をたどる彗星のグループ。
- kw(キロワット)
kw = 10^10 erg/s
- L(近日点経度)
-
(太陽の光度を表す記号)
3.826*10^33 erg/s
- Lagrangian points(ラグランジュ・ポイント)
共通の重心の周りを円軌道で運動する2つの質量の大きな天体の軌道平面内
で、質量が無視できるような第3の天体が重力平衡状態で生き残ることが できる点。
- Lambert's law(ランバートの法則)
余弦法則とも言う。
- latus rectum(通径)
- light curve(光度曲線)
時刻の関数として光度をプロットしたもの。
- Lorentz forces(ローレンツ力)
-
(太陽質量を表す記号)
1.898*10^33 g
-
(地球質量を表す記号)
5.976*10^27 g
- μm
1 micrometer = 1 micron = 10^-6 m
- matrix(基質)
岩石中で径の大きな粒の間隙がそれよりはるかに小さな粒によって 埋められているとき、後者の部分を基質という。
- Mach number(マッハ数)
局所的な音速に対する流れのスピードの比。
- mag(magnitude:等級)
天体の明るさを表す量。明るさIに対して、 -2.5logIに比例する。 (logは常用対数)
- me(mean square error:平均自乗誤差)
- megaweber
磁気フラックスの単位。 10^6 weberのこと。
- meteor(流星)
shooting star とも言う。 特に金星なみの明るさの流星をfireball、
満月に相当するものをbolideということもある。
- meteorite(隕石)
- meteoroide
地球近傍に存在し、太陽をめぐる軌道を持つ小粒子。
- MeV
million electron volts = 10^9 eV
- mG
milligauss = 10^-3 gauss
- MHD(magnetohydrodynamics:電磁流体力学)
磁場と電場と相互作用を研究する学問分野。
- Mie theory(ミー理論)
小さな球形粒子による光散乱をあつかった理論。
- MPC( Minor
Planet Center、 Minor Planet
Circulars)
- msec(millisecond)
millisecond = 10^-3 s
- new comet(新しい彗星)
はじめて太陽に接近する彗星。
- nm
nanometer = 10^-9 m
- nongravitational effects(非重力効果)
- nt
nanotesla = 10^-9 Tesla
- nuclear magnitude(核光度)
彗星頭部の中央集光部分の光度を言う。普通m2と表記する。 理想的には彗星核表面で反射された太陽光による光度のことだが、
実際には(日心距離が非常に大きいとき以外は)核をとりまく ガスやダストの濃密な部分による光だと考えるべきである。
- ω(近日点引数)
軌道平面内において彗星の運動方向に沿って昇交点から近日点まで測った角度。
- Ω(昇交点黄経)
黄道面内において、春分点から昇交点まで測った角度。
- OAO(Orbiting Astronomical Observatory:軌道天文台衛星)
1968年12月7日 NASAにより打ち上げられた衛星。
- obliquity(傾斜角)
自転する天体の軌道の極と回転軸とのなす角度。
- OGO(Orbiting Geophysical Observatory:軌道地理観測衛星??)
NASAの打ち上げた一連の衛星。
- olivines(かんらん石)
隕石や他の石に含まれる岩上のシリケイト。かんらん石中のSiO2と酸化物(MgO,FeO)の割合は2:1
。かんらん石はMg2SiO4,forsteriteからFe2SiO4,fayaliteの成分が連続した状態になる。鉄とマグネシウ ム鉄が自由な状態にある。成分は一般的にfayaliteのモル%であらわす。たとえば65%
Mg2SiO4
- old comet
惑星の摂動を受け、長い時間内部太陽系にある軌道を持つ周期彗星のこと。
一般的に1/a 〜10^-4[AU^-1]の値を持つ原初軌道の半長径aを有する。 "old"とは年代を示すものではないことに注意。
- Oort cloud(オールトの雲)
20,000から100,000AU又はそれ以上の遠日点距離を持つ多くの彗星が
太陽系を取りまいているという仮説。摂動の影響でこの中の彗星が太陽に接近する軌道を持つようになり、 我々に観測されるようになるという。
多くの彗星の1/aの値が40×10^-6[AU^-1]付近のせまい幅に集中していることから この仮説が考え出された。
- oppsosition(衝)
elongationの項を見よ。
- osculatiog orbit(接触軌道)
彗星の軌道要素は惑星の摂動によって刻々と変化している。 接触軌道とは、ある瞬間における軌道のこと。その”瞬間”のことを接触元期という。
- outburst(急増光)
彗星の光度が短時間の間に急激に上昇する現象。
- P(軌道周期)
- P/(周期彗星であることを表す記号)
nomenclatureの項を参照。
- parent body(母天体)
流星の元となる彗星、又は小惑星などの天体
- parent molecules(親分子)
彗星の原子、又はH,OH,CN,C2,C3のようなラジカルのもととなる分子のこと。 たとえば、H2O雲はHとOHの、HCNはCNの、C2H2はC2の親分子であると
考えられている。
- PC(パーセック)
1AUが1秒角になる距離。 206,265AU = 3.26光年 = 3.086×10^16[m]
- periheion(近日点)
太陽に彗星が最接近する点。
- periheion
distance(近日点距離)
近日点と太陽の距離。
- perturbation(摂動)
彗星などの天体が太陽以外の天体(惑星など)の重力によって 軌道運動に影響を受けること。
- phase angle(位相角)
彗星や惑星などから見たときの太陽と観測者のなす角。しばしばαの文字があてられる。
- phase function(位相関数)
太陽光を反射して輝いている天体は、 視線に対してどのような角度で光があたっているかによって明るさが変わる
(満ち欠け、表面の反射特性などによる)。 これを位相角との関係で示したものを
位相関数と呼ぶ。
- Planck's blackbokdy formula
温度Tにて熱平衝の状態下で放射の強度分布を決める式。
- plantet esimal(微惑星)
太陽系創成期存在した100km程度の中間サイズの天体(微惑星)が合体し、 最終的に惑星などの大きな天体になったという仮説が提唱されている。
- position angle(位置角)
天空上で北から東まわりに向かって測った角度。 彗星の核に対する尾の方向を示す場合などに使われる。 P.A.と略されることもある。
- ppb
百万分の一
- precession(歳差)
回転する非球形の天体が外部からの力により回転軸がゆっくり周期的に 円錐運動すること。
- pυ
UBVシステムの
Vフィルターをつけた時の幾何学的アルべド。
- pyroxenes(輝石)
酸化金属(酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化カルシウム)とケイ酸が 1:1の割合で、岩石を形成しているシリケートのグループ。
これらはメタシリケートと呼ばれる。このグループの純粋なメンバーは、 MgSiO3(エンスタタイト)とFeSiO3(フェロシライト)である。
純粋なCaSiO3は、輝石構造では結晶化しない。 カルシウムは輝石構造ではマグネシウムと鉄の50%に置換する。
- q(近日点距離)
- Q(遠日点距離)
- q.v.(quod vide)
『この語を参照せよ』という意味のラテン語。
- r(日心距離)
太陽と天体の間の距離。普通単位は天文単位を用いる。
- R
彗星に関する論文では核からの距離、核の半径などを表す文字として 使われることが多い。もちろん著者によっては
そのほかの意味を持つ記号として使われる。
- ρ
通常密度を表す文字として使われる。 単位は、g/cm^3 か kg/m^3であることが多い。
- radiation pressure(輻射圧、放射圧)
ある物体に対し他の天体の発する電磁波が運動量を伝達し、 輻射の中心から遠ざけるような方向に働く力のこと。
- ray(レイ)
彗星の頭部から、しばしば尾の中心軸に対して対称に、 反太陽側にのびるプラズマの構造。
- recombination(再結合)
活性イオンと電子が結合して、中性分子あるいは他の中性の粒子を 形成する過程。
- reconnection(つなぎかえ)
磁場のエネルギーからプラズマの運動エネルギーの変換で起る、 対の磁極性を持つ2つのプラズマ流の結合。
- reduced magnitude(換算等級)
absolute
magnitudeを参照
- refractory
耐熱性の物質、あるいは高い融点を持っている金属のこと。
- regolith(レゴリス)
惑星、衛星、小惑星の表面の地形を形成している、 砕けたバラバラの岩石屑の層。流星体の衝突によって生成されたものとする説がある。、
- resonance(共鳴)
振動系に加える周期的外力の振動数を振動系の固有振動数に 近づけていくにつれて振動系の振幅が急激に増加する現象。
- Reynolds number(レイノルド数)
流体における乱流の発生条件を決定する無次元数(R=Lv/ν、 ここでLはある系の典型的な次元、vは卓越している速度の量、
νは運動の粘性度である)。
- rms(root mean square)
ある数値のセットの平均2乗値の平方根。
- rotational line
分子が励起されたときに、回転エネルギーの形で生ずる
スペクトルを回転スペクトル(rotational spectrum)というが、 特にこれによるスペクトル線のことを言う。
scattering(散乱)
微少な粒子にあたった光が四方八方にその方向を変えられる現象。
Schmidt telescope(シュミット望遠鏡)
球面の主鏡の対物側に薄い補正レンズを配することによって、コマ収差を補正し たカタディオプトリック系反射望遠鏡の一種。広視野の撮像ができるのが特徴。
semi latus rectum(半通径)
solar flare(太陽フレア)
惑星間へエネルギッシュな粒子のバーストを送る、太陽の彩層からの爆発的な噴 出。
solar wind(太陽風)
太陽コロナからのエネルギーを帯びた粒子 の動経方向への流出。太陽風の平均数密度は5個/cm^3で、地球における平均速
度は400km/s、平均磁場は5x10^-5ガウス、平均電子温度は2万ケルビン、 平均イオン温度は1万ケルビン。 太陽風は太陽から質量と角運動量を持ち出すことになる。太陽はだいたい10^-13太陽質量/年を太陽風
で放出している。
ST(space telescope:宇宙望遠鏡)
ハッブル宇宙望遠鏡(HST)は、かつてこう呼ばれていたらしい。
stagnation point(よどみ点)
流れの中で流線にそって流速qが変化する場合、 q=0になる点をよどみ点という。
ここで流線が分岐するので岐点とも呼ばれる。
stagnation pressure(よどみ圧)
よどみ点での圧力。
stand-off distance
(彗星のイオンと)混合された太陽風の内側への流れが、彗星のイオンの流れに よって止められる場所の彗星核からの動径方向の距離。
Stoke's law(ストークスの法則)
粘性のある流体の中を運動する球体に働く抵抗(摩擦力)が、 球体の速度、球体の半径及び、流体の粘性係数に比例することを
示した法則。
STP(standard temperature and pressure:標準状態)
標準温度及び、圧力の状態:273K(0℃)、1atm(1気圧)
striae(ストリーエ)
彗星のダストの尾の中に見られる直線構造で、ダストストリーマよりも、 太陽−彗星核を結んだ軸に平行に近い。シンクロニック・バンドとも言う。
sub solar point(太陽直下点)
彗星核や惑星の表面で太陽が天頂に見えている地点のこと。
Swings effect(スイングス効果)
彗星の分子スペクトルの rotational line
の不規則性の強さのことで、彗星の軌道運動による、 太陽スペクトルのドップラー・シフトに起因している。
synchrone(同時放出線)
彗星のダストの尾について、 ベッセル−ブレディヒン (Bessel-Bredikhin)の物理理論によると、
ほぼ同時に核から放出された、異なる初速度を持ち、 異なる大きさの斥力に支配された粒子によって形成される 軌跡のこと。輻射圧がその斥力であると考えられている。
従って、それは粒子のサイズに依存する。
syndyne(syndyname)(等斥力線)
彗星のダストの尾について、 ベッセル−ブレディヒン(Bessel-Bredikhin) の物理理論によると、時間間隔をおいて核から放出された、
等しい初速度を持ち、等しい斥力に支配された粒子によって 形成される軌跡のこと。この斥力は、太陽輻射圧であると 考えられているので、その軌跡は、同じサイズの粒子によるものである。
synodic period(会合周期)
地球から見て太陽に対して惑星または月が、 あるいは主惑星に対してその衛星が合(同一方向にある状態) になる周期。
- T(近日点通過時刻)
軌道要素のひとつ。彗星が近日点を 通過する時刻(近日点通過時刻)を、軌道上の彗星の位置を計算するための
基準として用いる。
- terminator(昼夜境界線)
- total magnitude(全光度)
彗星の核、コマ、尾の全ての明るさを合わせて 測定した光度のこと。しばしば、m1の記号で表される。
- TRIAD(Tucson Revised Index of Asteroid Data )
アリゾナ大学のグループによって編集された小惑星のデータベース。 Gehrels, T.(1979) in
"Asteroid" pp.1011-1154 , Univ. Arizona Press を参照。
- Trojans(トロヤ群)
木星に対する2つの ラグランジュ・ポイントに存在する小惑星の一群。
- typeI
彗星のイオンテイル(プラズマテイルとも言う)のこと。 プラズマで構成された彗星の尾。 あるいは、炭素質コンドライトや 流星の分類にも使用されている。
- typeII
彗星のダストテイルのこと。
- typeIII
タイプIIよりも大きく曲がった彗星の尾。 比較的大きな粒子で構成されたダストテイルである。 アンチテイル(太陽方向にのびた尾)としても観測される。 (anomalous tail の項を参照)
- thermal radiation(熱輻射)
blackbody radiationの項を参照。
- UBV system(UBVシステム)
Yerkes天文台の Johnson と Morgan によって考案された恒星の 等級システムで、3色のフィルター(3600オングストロームの紫外線
U、 4200オングストロームの青色光 B 及び、5400オングストローム付近の 緑色〜黄色のスペクトル領域の ”可視光”V)を使用した天体の
見かけの等級を測光するシステム。 A0 の恒星が、B-V=U-B=0 となるように定義されていて、 それより温度の高い恒星は負の値になり、
温度の低い恒星は正の値になる。 R,I,H,J,K,L,M 等、他の波長域へも拡張されている。
- UT(universal time:世界時)
経度0度における太陽時に12時間を加えたもの。 日本標準時JSTから9時間を引いたものに等しい。
- UV(ultraviolet :紫外線)
スペクトル領域1850<λ<4000オングストロームの光。
- van der Waals forces(ファンデルワールス力)
原子と分子の間に働く、比較的弱い引力。
- VJK color color plot(VJK色相図)
V(0.55μm),J(1.25μm),K(2.2μm)のバンドで観測した等級を
図にプロットしたもの。 小惑星の表面特性などの手がかりになる。
- VLF(very low frequency:超低周波)
電磁波スペクトル中の、3〜30kHzの周波数帯の呼称。
- VUV(vacuum ultraviolet :真空紫外線)
スペクトル領域 λ<1850オングストロームの光。
この領域の研究には真空環境が必要なのでこう呼ばれている。
- wave number(波数)
波長の逆数(赤外放射について扱う場合、波長の代わりに、 慣例的に使用される。)。 波数υ=1/λ=f/c
ここで、λは放射の波長、fは周波数、cは光速を示す。
単位はcm^-1 など。
- zodiacal band(帯状黄道光)
黄道面に沿った淡い光で、ピラミッド状黄道光と対日照を結ぶもの。
- zodiacal light(黄道光)
黄道面に沿って、太陽から遠く伸びた淡い光の帯。 惑星間粒子によって太陽光が散乱して生じる。 空全体に広がっているが、太陽に近く、黄道にそった部分が最も明るい。
- zodiacal lightpyramid(ピラミッド状黄道光)
薄明終了直後、開始直前に太陽側の地平線からたちのぼる三角形の光。 黄道光の最も明るい部分で、単に黄道光というとピラミッド状黄道光を
さしていることが多い。
参考文献