彗星の尾にはプラズマテイルとダストテイルがありますが、 前者はガス(主にCO+、H2O+ )の発光、後者はダストが反射した 太陽光により輝いています。どちらもおおざっぱにいって彗星 の軌道平面に沿ってのびるため、地球上からは両者が重なりあっ てみえることがしばしばあります。ダストテイルの構造を正確 に観測する場合はこの問題を回避する必要があります。 では、ダストテイルのみの画像を得るためにはどのようにし たらよいでしょうか。幸いにして両者は異なるしくみで光って いるのでそのスペクトルが違います。プラズマテイルは、発光 成分(イオン)によって固有な波長のみに光を放つ輝線スペク トル、ダストテイルはほぼ可視光全域にわたる連続スペクトル を持ちます。そのため、プラズマテイルに含まれる輝線だけを カットするフィルターをかければ、CCDに到達するのは連続 光成分のみとなり、ダストのみによる成分を記録することがで きます。 具体的には、市販のCCDカメラの場合(CCDにより波長 特性が異なる)は、以下のものが価格・入手のしやすさからお すすめです。 ・富士フィルム製 BPB55(アセテートフィルター) さらに、 ・赤外カットフィルター(ケンコー製など)を重ねて使用 あわせて、数千円以下で入手できます。赤外カットフィルター は、BPB55では透過してしまう長波長側のプラズマテイルの 成分をカットする役割をします。 なお、この組み合わせではかなり狭い波長域をねらっている ため、光量が少なくなるのが欠点です。また、ごくわずかにプ ラズマテイル中のH2O+の光が混入する点に注意が必要です。
詳しくは、HB彗星観測者のためのホームページ(みさと天文台)
をあわせてご覧下さい。